不動産を売却する際には、様々な費用がかかる場合がありますので、事前に調べて確認をしておくことが重要です。最終的に思っていた手残り額にならなかったということがないように、状況に応じた諸費用を調べておきましょう。ここでは諸費用の中でも大きな割合を占めることが多い仲介手数料について解説いたします。

不動産の売買取引を不動産会社に依頼する際、媒介契約を結びます。この契約に基づき、不動産会社は売却活動を行います。売却活動では、ホームページや不動産情報サイトへ情報掲載、様々な媒体への広告活動、チラシの配布、購入希望者の内覧の立会いなどを行います。仲介手数料は、この活動の成果に対する報酬です。売買が成立しなければ請求されないので、成功報酬とも言えます。

前述のとおり、仲介手数料は成功報酬ですので、売買契約が成立した時点が支払いのタイミングです。しかしながら、不動産の取引では、契約後に売主、買主共にさまざまな準備を経て引き渡しを行いますので、契約日と引渡し日に1ヶ月から2ヶ月程度の開きが生じます。そのため一般的には売買契約時と物件の引渡し時の2回に分けて半分ずつ支払うか、または物件引渡し時に全額まとめて支払う方法があります。

売却を依頼する仲介会社によって支払うタイミングが異なりますので、売却を依頼する前に確認しておきましょう。

なお、仲介手数料は不動産会社が仲介業務を行ったことに対する成功報酬ですので、売買契約が成立しなかった場合や、途中で売却活動をやめた場合、不動産会社が直接買い取った場合は支払う必要がなくなります。

宅地建物取引業法の報酬規程では売買価格の金額に応じて仲介手数料の上限を設けています。以下がその割合です。

200万円以下の金額： 5.5％

200万円～400万円以下の金額： 4.4％

400万円を超える金額： 3.3％

例として、売買価格2,000万円（税抜）の仲介手数料を計算してみましょう。

2,000万円のうち、

200万円までが5.5％（200万円×5.5％）で 11万円

200万円～400万円までが4.4％（200万円×4.4％）で 8.8万円

400万円から2000万円までが3.3％（1600万円×3.3％）で 52.8万円

合計すると、72.6万円（税込価格）となります。

上記の規定は価格帯ごとの手数料率が違うため売買価格が200万円を超えてくると計算がしづらいため、一般的には以下の速算式で計算します。

売買価格200万円以下： 売買価格 × 5% + 消費税

売買価格200万円～400万円： 売買価格 × 4% + 2万円 + 消費税

売買価格400万円超： 売買価格 × 3% + 6万円 + 消費税

参考例：売買価格2000万円の場合 前出の、売買価格が2000万円だった場合の仲介手数料を速算式で計算すると以下の通りです。

速算式: 売買価格2000万円 × 3% + 6万円 = 66万円（税抜） 消費税を加えると、仲介手数料は72.6万円（税込価格）となります。

低廉な空家等（売買価格が400万円未満）の売却では、調査等に要する経費が通常の売却物件よりもかかることも多く、既定の報酬額では採算が合わないことが多くありました。そのため、仲介手数料に物件調査費用も合算して請求できる特例が設けられました。売主側から受領できる報酬額は18万円（税抜）と、消費税1.8万円を合わせた19.8万円です。